社長のSNS運用のKPI設計|フォロワー数を追うと失敗する理由
「社長のSNSを始めたが、何の数字を目標にすればよいか分からない」「フォロワーや再生数は増えたのに、問い合わせや応募が増えていない」「代行会社のレポートを見ても、成果が出ているのか判断できない」——社長のSNSは、追う数字を誤ると、伸びているのに事業につながらない状態が続きます。
結論から言うと、社長のSNS運用のKPIは、投稿本数などの行動KPI、保存率や遷移率などの中間KPI、指名検索や面談などの事業KGIの3層で設計します。フォロワー数や再生数だけを追うと、ターゲット外の視聴者ばかり集まり、商談や採用につながりません。再生数と問い合わせ数の相関は薄いという前提で、事業の数字から逆算することが大切です。
本記事では、フォロワー数を追うと失敗する理由、3層KPIの全体像、行動KPI・中間KPI・事業KGIの決め方、目的別の設計例、媒体別の注意点、振り返りの運用まで解説します。
社長のSNSでフォロワー数を追うと失敗する理由
社長のSNSでフォロワー数を追うと失敗するのは、増えた人が商談や採用の相手とは限らないためです。
ターゲット外の視聴者ばかり集まる
フォロワー数や再生数だけを目標にすると、伸びやすい企画に寄っていき、ターゲット外の視聴者ばかりが集まります。
再生数を取りにいくと、どうしても一般受けするテーマや流行の型に企画が寄っていきます。その結果、フォロワーは増えても、社長が本来届けたい経営者や求職者は一部しか含まれない状態になります。
PRESNSの一次情報バンクでも、再生数やフォロワー数だけを追うとターゲット外の視聴者ばかり集まり、商談につながらないことを繰り返し確認しています。
数字が伸びているのに問い合わせが増えないという相談の多くは、KPIの置き方に原因があります。
再生数と問い合わせ数の相関は薄い
再生数と問い合わせ数の相関は薄く、再生数が増えても問い合わせが比例して増えるわけではありません。
本庄の現場観測では、SNS経由のリードは数こそ月2〜3件と少ないものの、成約率は80〜90%と高い水準です。一方、広告では月10〜20件のリードが取れても成約率は20〜30%にとどまります。
つまり経営者SNSは、数を集める仕組みではなく、質の高い相手と出会う仕組みです。再生数の大小より、見るべき人に届いているかを測るKPIが必要になります。
実際に、登録者も再生も少ないニッチなYouTubeチャンネルから採用が1名決まった事例もあります。数字が小さくても、見るべき人に届けば成果は出ます。
同じフォロワー数でも中身はまったく違う
同じフォロワー数でも、ほとんど反応しないアカウントと、半数が本人のファンであるアカウントでは価値がまったく違います。
本庄は、フォロワー3万人という着地が同じでも、まったくアクティブでないアカウントと、ファンが半分いるアカウントは別物だと語っています。フォロワーの数ではなく、フォロワーのその先を見て運用することが大切です。
フォロワー数は結果として増えればよい数字であり、目標の中心に置く数字ではありません。
社長のSNS運用のKPIは3層で設計する
社長のSNS運用のKPIは、行動KPI・中間KPI・事業KGIの3層で設計し、事業の成果までつなげます。
| 層 | 主な指標 | 目安・例 | 誰が責任を持つか |
|---|---|---|---|
| 行動KPI | 投稿本数・撮影回数・3秒視聴率 | 月6本投稿、3秒視聴率35%以上 | 運用チーム |
| 中間KPI | 保存率・プロフィール遷移率・平均視聴維持率 | 保存率3〜5%、遷移率1.5〜3%、維持率30〜40% | 運用チーム+ディレクター |
| 事業KGI | 指名検索・資料DL・面談・採用応募 | 月10件の問い合わせなど自社で設定 | 社長+運用チーム |
行動KPI|自分たちで管理できる数字
行動KPIは、投稿本数や撮影回数など、運用チームの努力で確実に達成できる数字であり、3秒視聴率35%以上も目安にします。
行動KPIの例は「月6本投稿する」「月1回まとめ撮りをする」といった数字です。運用が止まらないための最低ラインとして機能します。
ただし本庄は、行動KPIしか追わない運用は支援とは呼べないと語っています。行動KPIは3層の土台であり、ゴールではありません。
行動KPIを決めるときは、社長の撮影時間から逆算します。事前企画と台本テンプレートを固めて撮影に入れば、1回の撮影(2〜4時間)でショート動画10〜30本分の素材を収録できるため、月1回のまとめ撮りで月の投稿本数を確保する設計が現実的です。
中間KPI|コンテンツの質を測る数字
中間KPIは、保存率3〜5%・プロフィール遷移率1.5〜3%など、内容の質と導線の働きを測る数字です。
保存率は「あとで見返したい」と思われた割合、プロフィール遷移率は「この人をもっと知りたい」と思われた割合です。どちらも、フォロワー数より事業の成果に近い数字です。
平均視聴維持率は、企画と編集の質を測る指標です。冒頭のフックで離脱されていないか、話の構成で飽きられていないかを確認できます。
中間KPIが目安を下回るときは、企画の切り口か冒頭のフックに原因があることが多いものです。本庄は、動画の成否を分けるのは冒頭3秒のフックだと考え、定例で毎回フックと企画を持ち寄って磨く運用をしています。
事業KGI|経営の成果に直結する数字
事業KGIは、指名検索、資料ダウンロード、面談、採用応募など、SNSを見た人が事業の行動を起こした数を測る数字です。
本庄は、KPIは行動系と成果系の二軸で置くべきで、成果KPI(例:月10件の問い合わせ)が定義されていなければ、行動だけ追っても何も測れていないと語っています。
事業KGIを最初に決めることが、3層KPIの出発点です。事業KGIが決まれば、必要な中間KPIと行動KPIが逆算できます。

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事業KGIから逆算するKPI設計の手順
KPI設計は、目的を1つに絞る、受け皿を設計する、ゴールから数値を逆算するの3手順で進めます。
目的を採用か商談獲得の1つに絞る
KPI設計の最初の手順は、社長のSNSの主目的を採用か商談獲得のどちらか1つに絞り、事業KGIの種類を決めることです。
経営者SNSの目的は採用かリード獲得の2つに集約され、その先にブランディングがあるというのがPRESNSの考え方です。1つのアカウントで複数の目的を同時に追うと、コンセプトがぶれやすくなります。
採用なら「カジュアル面談数」「応募数」、商談獲得なら「資料ダウンロード数」「面談数」というように、目的によって事業KGIの種類は変わります。
受け皿の導線を先に設計する
受け皿の導線は、プロフィールからLINE登録・資料DL・面談予約へ進む流れを、KPIより先に設計します。
受け皿がないままSNSを始めても、フォロワーが増えるだけでビジネスにはなりません。本庄は、YouTubeの出口をいきなりホームページにするとハードルが高いため、LINE登録からホワイトペーパーを自動送付するシンプルな設計でよいと語っています。
実際に、YouTube動画の企画と概要欄・固定コメントのCTAを一致させた改善で、広告費ゼロ・動画8〜10本の段階から月間LINE登録者数が7名から35名へ増えた事例があります。
ゴールから逆算して各段階の数値を置く
各段階の数値は、事業KGIの目標から逆算し、面談数・LINE登録数・遷移数・視聴数の順に置きます。
本庄は、クライアントワークにはゴールから逆算した数値設計が絶対に必要だと語っています。担当者が数値管理シートを持ち、定例で何を聞かれても数字で答えられる状態をつくることが理想です。
最初は各段階の転換率が分からないため、仮の数字で設計し、3ヶ月ほど運用したデータで修正していきます。仮の数字でも置くことに意味があるのは、ずれを見つけて改善できるからです。
- 事業KGIの目標(例:月の面談数)を決める
- 面談に至る割合を仮置きして、必要なLINE登録数や資料DL数を出す
- 登録に至る割合を仮置きして、必要なプロフィール遷移数を出す
- 遷移率の目安(1.5〜3%)から、必要な視聴数を出す
- 必要な視聴数から、月の投稿本数(行動KPI)を決める
目的別のKPI設計例|採用と商談獲得
社長のSNSの事業KGIは、採用目的なら候補者プールと面談数、商談獲得なら資料DLと面談数が中心です。
| 目的 | 事業KGIの例 | 中間KPIで重視する指標 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 採用 | LINE候補者プール数・面談設定数・採用決定数 | プロフィール遷移率・平均視聴維持率 | 応募が出始めるのは最短半年 |
| 商談獲得 | 指名検索数・資料DL数・面談数 | 保存率・プロフィール遷移率 | リードは少数でも成約率が高い |
| ブランディング | 指名検索数の推移 | 保存率・平均視聴維持率 | 単独の目的にすると測りにくい |
採用目的のKPI設計
採用目的のKPIは、リーチから採用LP、LINE登録、カジュアル面談、応募までの段階に分けて設計します。
本庄は、SNS採用では媒体のKPIと採用のKPIを分けて考える必要があると語っています。採用支援の成果は再生数ではなく、LINEの候補者プール数、面談設定数、採用決定数で測るべきだという考え方です。
応募者は面接前に社長のSNSや動画を見て志望度を固めてから応募してきます。面接での「SNSを見ました」という声を記録しておくと、数字に表れにくい効果も把握できます。
商談獲得目的のKPI設計
商談獲得目的のKPIは、指名検索数・資料DL数・面談数を事業KGIに置き、商談前の閲覧も記録します。
BtoBの商談や採用面接の前に、相手はほぼ確実に社名と社長名を検索してSNSを見ています。経営者SNSは、新規を集める広告以上に、商談前に見られて成約率を引き上げる資産として働きます。
そのため、商談の場で「SNSを見て安心した」といった声を営業担当が記録する仕組みも、KPIの一部として設計しておくと効果を測りやすくなります。
ブランディング目的の扱い方
ブランディングは単独の目的として置くより、採用や商談獲得の結果として積み上がるものとして扱うと測りやすくなります。
ブランディングだけを目的にすると、何をもって成功とするかが曖昧になります。PRESNSでは、採用やリード獲得の先にブランディングがあると考え、まずは事業KGIを置いて運用します。
指名検索数の推移は、ブランディングの効果を間接的に測る指標として使えます。
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媒体別のKPIの置き方|TikTok・YouTube・Instagram
SNSのKPIは媒体ごとに役割が違うため、TikTok・YouTube・Instagramで重視する数字を変えます。
| 媒体 | 主な役割 | 重視するKPI | 置かないほうがよいKPI |
|---|---|---|---|
| TikTok | 新規への認知の入口 | 再生数・フォロワー数・プロフィール閲覧 | TikTok単体のリード数 |
| YouTube | 信頼形成と指名検索の受け皿 | クリック率・平均視聴維持率・LINE登録 | 初期のチャンネル登録者数 |
| 検索されたときの信頼の受け皿 | プロフィール遷移率・保存率・ストーリーズ反応 | 新規フォロワー数だけ |
TikTokのKPI
TikTokのKPIは、リード数ではなく再生数とフォロワー数に置き、リードは副次的な成果として扱うのが現実的です。
本庄は、TikTok経由だけでリードを獲得するのは効率が低いため、TikTokのKPIは再生数とフォロワー数に置くべきだと語っています。TikTokは新規の人に届ける入口の媒体です。
一方で、TikTokは1本の動画でインプレッション、プロフィール閲覧、LINE登録までのファネルがきれいにそろうため、YouTubeより効果が見えやすいという利点もあります。
本庄は、TikTokは投稿本数がそのまま試行回数になると語り、初動は月10本×3ヶ月(30本)を確実に回すことを勧めています。行動KPIとしての本数が、他の媒体以上に重要な媒体です。
YouTubeのKPI
YouTubeの初期KPIには登録者数を置かず、最初の数ヶ月はアルゴリズムに評価されるかを確かめます。
本庄は、YouTubeは1〜2ヶ月目から一気に登録者が増えることは少なく、最初はアルゴリズムに乗れるかを見る検証期間だと語っています。
長尺動画が伸びるかどうかは、投稿後24時間以内に「クリック率5%・平均視聴維持率40%以上・高評価10個以上」がそろうかが1つの目安です。
InstagramのKPI
Instagramは、新規フォロワーの獲得より、名前で検索されたときに信頼される状態かどうかを重視してKPIを置きます。
本庄は、店舗やクリニックのInstagramはホームページの役割を持つと語っています。名前で検索されたときにアカウントが動いている状態であることが、来店や問い合わせの後押しになります。
ストーリーズは新規向けではなく、検討中の見込み客の不安を解消する場として、閲覧数や反応数を中間KPIに置くと効果を測りやすくなります。
KPIの振り返りの運用|月次で何を見るか
KPIの振り返りは、媒体の数字と出口の数字を分け、良い投稿の要因を言語化し、週次と月次で報告の型を決めて運用します。
媒体の数字と出口の数字を分けて見る
SNSの数字は、入口からLINE登録までの媒体の数字と、売上や採用決定などの出口の数字に分けて振り返ります。
本庄は、2つを混ぜて見ると、入口を広げるべきか出口に投資すべきかの議論がごちゃまぜになると語っています。媒体の数字が良くて出口が悪いなら受け皿を直し、媒体の数字が悪いなら企画を直すというように、打ち手が明確になります。
どこで詰まっているかを特定することが、振り返りの最大の目的です。
良い投稿だけを分析する
投稿の振り返りでは、伸びなかった投稿の反省より、伸びた投稿の要因を言語化して次の企画に移植することを優先します。
本庄は、悪い動画にフィードバックしても意味はなく、良い動画だけを拾って、冒頭2秒のフックなのか、コメントが生まれたからなのかといったインプレッションが取れた理由を言語化すべきだと語っています。
伸びた理由が言語化できれば、次の企画で再現できます。伸びた要因の記録は、運用チームにとって最も価値のある資産です。
分析の観点は、冒頭のフック、企画のテーマ、話し手の表情や温度感、コメント欄の反応の4つに絞ると、毎月の振り返りが短時間で済みます。
週次と月次の報告の型を決める
報告は、週次で行動KPIを確認し、月次で中間KPIと事業KGIまで振り返る型にすると判断しやすくなります。
本庄は、オーナーへの報告はKGIからKPI、日々の行動へと全体の数字を週次に下ろす形が一番見やすいと語っています。YouTubeのようなオーガニック動画は後から伸びる資産のため、日次の再生数に一喜一憂せず、月次で前月投稿分を集計するのが基本です。
KPI設計でよくある失敗と対策
KPI設計でよくある失敗は、行動KPIだけを追う、短期間で判定する、数字が見えなくなるの3つです。
行動KPIだけを追ってしまう
行動KPIだけを追う運用は、投稿本数を守ることが目的になり、事業の成果につながっているかを誰も確認しなくなります。
投稿本数は守られているのに、問い合わせが増えない状態が続くなら、中間KPIと事業KGIが設計されていない可能性があります。3層のどこを誰が追うかを決め直しましょう。
本庄は、行動KPI・成果KPI・事業KPIの3層で見ることが支援の品質そのものだと語っています。代行会社のレポートが投稿本数と再生数だけで終わっているなら、事業KPIまで報告してもらうよう依頼しましょう。
短期間で成果を判定してしまう
オーガニックのSNSはJカーブで伸びるため、データがない状態から3ヶ月で判定すると、改善の手がかりも残らずに終わります。
PRESNSでは、最低6ヶ月の継続を推奨し、計画期間は12ヶ月で考えています。最初の3ヶ月は伸びる企画を探す期間として、行動KPIと中間KPIを中心に評価します。
1年前に投稿した動画から成果が生まれることもあるのがオーガニックのSNSです。
数字がブラックボックスになる
SNS運用の数字がブラックボックスになると、費用に見合う成果が出ているかを判断できなくなります。
本庄は、広告は予算とCPAが見えるのに、オーガニックのSNSは数字がルール化されていないことが成果を出せない原因だと語っています。3層KPIを定例で毎回同じ形式で共有すれば、ブラックボックスは解消できます。
代行会社に依頼している場合は、レポートに事業KGIまで含まれているかを確認しましょう。
まとめ|社長のSNSのKPIは事業KGIから逆算して3層で設計する
社長のSNSのKPIは、フォロワー数ではなく事業KGIから逆算し、3層で設計することが成功の条件です。
KPI設計の要点
KPI設計の要点は、目的を1つに絞る、受け皿を先に設計する、媒体ごとに役割の違うKPIを置くの3つです。
再生数やフォロワー数は、事業の成果を生むための途中の数字にすぎません。3層のつながりを意識して設計すれば、伸びているのに成果が出ないという状態を防げます。
今日から始められること
今日から始められることは、採用か商談獲得かの目的を決め、事業KGIの目標数を仮でも1つ置いてみることです。
仮の数字でも、置いた瞬間から振り返りができるようになります。3ヶ月ごとにデータで修正しながら、自社に合ったKPIを育てていきましょう。
PRESNSのKPI設計の考え方
PRESNSは、再生数より、発信を見た人に「この会社で働きたい」と思われることを成果の中心に置きます。
経営者SNSは、バズらせて新規を集める広告以上に、商談前・面接前に見られて成約率や内定承諾率を引き上げる資産です。KPIもその役割に合わせて設計することが、遠回りに見えて最も確実な道です。
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執筆:PRESNS編集部 / 監修:本庄隼人(株式会社HAYABUSA 代表取締役)