保育士の求人広告の選び方|採用方法6種のメリット・費用相場と応募が集まる原稿の書き方 | PRESNS
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保育士の求人広告の選び方|採用方法6種のメリット・費用相場と応募が集まる原稿の書き方

「求人広告を出しても応募がほとんど来ない」「人材紹介に頼ると1人採るだけで100万円近くかかる」「営業電話が多すぎて、どの媒体がいいのか判断できない」——保育園の園長や法人の経営者から、こうした声をよく聞きます。

保育士の採用方法は、ここ数年で一気に増えました。保育特化の求人サイト、Indeedのような求人検索エンジン、人材紹介会社、ハローワーク、養成校、そしてInstagramやTikTokなどのSNSまで、選択肢は多いものの、それぞれ得意なことと苦手なことがはっきり違います。どれか一つが正解というより、園の状況に合わせて選び、組み合わせることが結果を左右します。

この記事では、保育士採用で使える主な手法を比べたうえで、求人広告の選び方を6つのステップで整理します。あわせて、応募が集まる求人原稿の書き方と、求人広告とSNSを組み合わせて採用コストを抑える方法まで解説します。

PRESNSの採用支援でも、求人媒体のテキスト情報だけでは園の雰囲気が伝わらず苦戦していた法人が、理事長・園長自身の言葉で保育方針や現場のリアルをSNS・動画で発信し始めたことで、「見学や面接の前に動画を見て安心してから応募してくれるようになった」という変化が生まれています。

保育士採用が「求人広告を出すだけ」では難しくなった理由

まずは、なぜ今、媒体の選び方がこれほど重要になっているのかを押さえておきます。

保育士の有効求人倍率は全国で4倍近い

有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して何件の求人があるかを示す数字です。広島市が国に提出した要望資料(こども家庭庁関係)によると、令和8年1月時点の保育士の有効求人倍率は全国で3.88倍、東京都は4.68倍、広島県は8.19倍となっています。

つまり、保育士1人を4つ近い園が取り合っている状態です。地域によってはそれ以上です。求職者から見れば「選べる側」にいるため、求人広告を出しただけで応募が来る時代ではありません。

厚生労働省の資料でも、医療・介護・保育分野の有効求人倍率(令和5年度)はおよそ3倍とされており、保育は人材確保が特に難しい分野として扱われています。

求職者は「条件」と「人間関係」の両方を見ている

東京都が都内の保育士登録者を対象に行った「東京都保育士実態調査」(令和4年度)では、職場選びで重視した点として、「勤務地(自宅から近い等)」が72.3%、「職場の人間関係」が51.9%、「給与が高いこと」が38.5%と続いています。

ここで注目したいのは、2番目に重視されている「人間関係」です。勤務地や給与は求人広告に書けますが、人間関係は求人原稿の文字だけではなかなか伝わりません。「アットホームな職場です」と書いても、求職者はそれをそのまま信じてはくれません。

この「求人広告では伝えきれない部分」をどう補うかが、後半で解説する広告とSNSの組み合わせの考え方につながります。

媒体が増えすぎて「どこに出すか」で結果が変わる

保育士向けの求人サイトや紹介会社は数多くあり、さらに求人検索エンジン経由の流入も増えています。同じ予算をかけても、媒体の選び方ひとつで応募数が大きく変わるようになりました。

逆に言えば、媒体の特徴を理解して使い分けるだけで、採用コストを下げられる余地が大きいということです。

保育士の採用方法は大きく6種類

保育士採用で使われる主な手法は、次の6つに分けられます。まずは全体像を一覧で確認しましょう。

採用方法費用の発生タイミング費用感の目安向いている場面
求人サイト(掲載課金型)掲載時掲載期間ごとの定額毎年複数名を採用する
求人検索エンジン(クリック課金型)求人がクリックされたとき1クリック数十円〜数百円予算を細かく調整したい
成功報酬型の求人サイト採用・入職が決まったとき理論年収の20〜30%程度採用人数が少なく初期費用を抑えたい
人材紹介採用・入職が決まったとき理論年収の25〜35%程度急ぎの欠員補充
ハローワーク・公的機関・養成校原則無料0円地元の求職者・新卒の母集団づくり
SNS・リファラル運用の手間・外注費自社運用なら低コスト中長期で採用力を高めたい

費用感の数字は、保育系の求人媒体・紹介会社が公開している料金体系や、求人広告の料金比較記事をもとにした目安です。実際の金額は媒体やプラン、地域、職種によって大きく異なるため、必ず見積もりを取って比較してください。

ここからは、それぞれの手法を詳しく見ていきます。

求人広告(求人サイト・求人検索エンジン)のメリット・デメリットと費用感

一口に「求人広告」と言っても、料金の仕組みによって性格がまったく違います。媒体を比べる前に、まず料金体系の違いを理解しておくことが大切です。

求人広告の料金体系は4つ

1. 掲載課金型

掲載期間(2週間、4週間など)に対して料金を払う方式です。応募が何件来ても追加料金はかかりません。そのかわり、応募がゼロでも料金は返ってきません。

2. クリック課金型

Indeedなどの求人検索エンジンの有料掲載で多い方式です。求人がクリックされるたびに費用が発生し、1クリックあたり数十円〜数百円が目安とされています。1日あたりや月あたりの予算上限を決められるため、少額から始めやすいのが特徴です。

3. 応募課金型

応募が1件あるごとに費用が発生する方式です。「応募が来なければ費用はかからない」という点では安心感がありますが、園の条件に合わない応募にも費用がかかる場合があるため、契約前に「どの状態を応募1件と数えるか」を確認しておきましょう。

4. 成功報酬型(採用課金型)

採用や入職が決まった時点で費用が発生する方式です。保育特化型の求人サイトでは、理論年収(入職後1年間の想定年収)の20〜30%程度を相場とする媒体が見られます。初期費用がかからない反面、1人あたりの金額は高くなりやすい方式です。

求人広告のメリット

採用人数が多いほど1人あたりのコストが下がる

掲載課金型の場合、1回の掲載で3人採れれば、1人あたりの採用コストは3分の1になります。毎年4月に複数名の採用が必要な法人や、複数園を運営している法人では、成功報酬型より費用を抑えやすくなります。

園の魅力を自分の言葉で伝えられる

人材紹介では、園の情報は紹介会社の担当者を通して求職者に伝わります。求人広告なら、写真や文章を自分たちで用意できるため、保育方針や働き方の工夫を直接伝えられます。

応募者が「自分で選んで」応募してくる

求人広告経由の応募者は、自分で求人を探して比較し、そのうえで応募してきます。紹介会社にすすめられて応募するケースに比べて、園への関心が高い状態でスタートできるのは大きな利点です。

求人広告のデメリット

原稿の出来で結果が大きく変わる

求人広告は「出せば応募が来る」ものではありません。同じ媒体に同じ金額で出しても、タイトルや写真、仕事内容の書き方で応募数がまったく変わります。原稿づくりに時間をかけられない園では、成果が出にくくなります。

応募対応の手間がかかる

応募が来たあとの連絡、日程調整、見学対応はすべて園側の仕事です。園長が保育や行事の合間に対応していると、返信が遅れて他の園に決まってしまうことも少なくありません。

掲載課金型は「空振り」のリスクがある

掲載課金型で応募がゼロだった場合、費用はそのまま損失になります。地域や時期によっては、何度掲載しても応募が来ない、ということも起こります。

求人広告が向いている園

  • 毎年、複数名の保育士を採用する
  • 園の魅力や保育方針を自分たちの言葉で伝えたい
  • 原稿の作成や応募対応に一定の時間を割ける
  • 採用ページやSNSなど、求人広告を見た人が確認できる「受け皿」がある

人材紹介のメリット・デメリットと費用感

人材紹介は、紹介会社が求職者を集め、園の条件に合う人を紹介してくれるサービスです。採用が決まったときに手数料を払う成功報酬型が一般的です。

費用感:理論年収の25〜35%程度が目安

保育士専門の紹介会社が公開している料金を見ると、理論年収の25%〜、30%〜といった設定が多く見られます。たとえば理論年収が350万円の保育士を手数料率30%で採用した場合、手数料は105万円になります。

多くの紹介会社には、入職後の一定期間内に退職した場合に手数料の一部が戻る「返戻金(へんれいきん)」の規定があります。期間と返金率は会社ごとに違うため、契約前に必ず確認しておきましょう。

人材紹介のメリット

欠員が出たときにすぐ動ける

人材紹介の最大の強みはスピードです。厚生労働省が公表している職業紹介に関する調査でも、有料職業紹介を利用する理由として、確実性やスピードが挙げられています。年度途中の急な退職や産休・育休の代替など、「とにかく早く1人必要」という場面では頼りになります。

採用が決まるまで費用がかからない

成功報酬型なので、採用に至らなければ費用は発生しません。初期投資のリスクがないのは安心材料です。

求人原稿や応募対応の手間が減る

求職者への説明や日程調整を紹介会社が担ってくれるため、園長の負担は軽くなります。

人材紹介のデメリット

1人あたりの採用コストが高い

前述のとおり、1人採用するごとに100万円前後の手数料がかかるケースも珍しくありません。複数名を紹介会社で採用すると、年間の採用費が数百万円に膨らみます。

定着につながらないことがある

厚生労働省の調査では、有料職業紹介を利用する際の課題として「早期離職」を挙げる声が多いとされています。紹介会社経由の採用では、求職者が複数の園を比較したうえで条件面を中心に決めることも多く、入職後に「思っていたのと違った」と感じて辞めてしまうリスクがあります。

園の魅力が「条件」に置き換わりやすい

紹介会社の担当者は多くの園を扱っているため、求職者への説明はどうしても給与・休日・勤務地といった条件中心になりがちです。保育方針や職場の雰囲気といった、園ならではの良さは伝わりにくくなります。

紹介会社を選ぶときのチェックポイント

医療・介護・保育分野では、紹介手数料の高さや早期離職をめぐるトラブルが問題になってきました。こうした背景から、国も対策を進めています。

  • 適正事業者の認定制度:厚生労働省は医療・介護・保育分野で「適正な有料職業紹介事業者の認定制度」を設け、基準を満たした事業者に認定マークを付与しています。サービス内容や費用を事前に把握し、適正な事業者を選べるようにするための制度です。
  • お祝い金の禁止と転職勧奨の禁止:厚生労働省の資料によると、2025年1月1日以降に許可・更新を受ける職業紹介事業者には、「紹介で就職した人(無期雇用)に就職から2年間は転職を勧めてはならない」「求職の申込みを勧める際に、社会通念上相当な程度を超えるお祝い金などを提供してはならない」という条件が付されています。

紹介会社を選ぶときは、手数料率と返戻金の規定に加えて、認定制度の取得状況や、紹介後のフォロー体制を確認しておくと安心です。

ハローワーク・公的機関・養成校のメリット・デメリット

費用をかけずに使える採用ルートも、保育士採用では重要です。

ハローワーク

厚生労働省の資料によると、ハローワークは全国に544か所あり、医療・介護・保育分野だけで年間約17万件(令和5年度)の就職を支えています。ハローワークインターネットサービスへのアクセスは1日あたり約236万件にのぼります。

メリット

  • 求人の掲載も紹介も無料
  • 地元で仕事を探している求職者に届きやすい
  • 地域の保育士・保育所支援センターや福祉人材センターと連携した支援が受けられる場合がある

デメリット

  • 求人票の書式が決まっているため、園の雰囲気や魅力を伝えにくい
  • 写真や動画で職場を見せることが難しい
  • 若い世代の求職者は民間の求人サイトやSNSで探すことも多く、届く層が限られる

ハローワークの求人票は、他の求人サイトや求人検索エンジンにも転載されることがあります。無料で掲載できる以上、「出しておいて損はない」ルートと考え、求人票の内容もきちんと作り込んでおきましょう。

保育士・保育所支援センター

各都道府県などに設置されている保育士・保育所支援センターでは、資格を持ちながら保育の仕事から離れている「潜在保育士」の再就職支援や、無料の職業紹介を行っています。

前述の東京都保育士実態調査では、保育士として働いたことのない資格保有者のうち63.2%が「条件が合えば都内で保育士として働きたい」と回答しています。こうした層は求人サイトを積極的に見ていないこともあるため、公的機関とのつながりを持っておく価値は十分にあります。

養成校(大学・短大・専門学校)

新卒保育士を採用したい場合、養成校への求人票の送付や、学内説明会への参加は欠かせません。実習の受け入れをきっかけに、そのまま就職先として選ばれるケースもあります。

メリット:費用がほぼかからず、新卒採用の母集団をつくれる

デメリット:中途採用には使えず、成果が出るまでに養成校との関係づくりが必要

SNS・リファラル採用は「広告の効果を高める土台」

SNSやリファラル(職員の紹介)は、求人広告や人材紹介とは少し性格が違う採用手法です。

SNS採用の位置づけ

SNSは、すぐに応募を集める「即効薬」というより、園の雰囲気や人間関係を継続的に見せて、求人広告を見た人の不安を解消する場所として機能します。求人広告とセットで使うことで、広告の効果そのものを高められるのが特徴です。

保育士採用でのSNSの使い方(媒体ごとの特徴や運用の始め方)は、「保育士採用にSNSは効く?」で詳しく解説しています。この記事では、後半で「求人広告とどう組み合わせるか」に絞って紹介します。

リファラル採用

今いる職員からの紹介は、園の実情を知っている人を通じた採用なので、ミスマッチが起きにくく、定着しやすい傾向があります。保育士同士のつながりは、養成校の同期や前職の同僚など、意外と広いものです。

ただし、紹介制度を設けるときは、紹介した職員と紹介された人の関係が悪くなったときの配慮や、報酬の設計など、注意すべき点もあります。詳しくは「リファラル採用は本当に「やばい」のか」をご覧ください。

保育士の求人広告の選び方【6ステップ】

ここからが本題です。求人広告をはじめとする採用手法を、どの順番で、何を基準に選べばいいのかを6つのステップで整理します。

保育士 求人広告の選び方

ステップ1:採用要件を決める

最初に決めるのは「誰を、何人、どの雇用形態で採りたいか」です。

  • 正規職員か、パート(短時間勤務)か
  • 担任を任せられる経験者か、未経験・ブランクありでもいいか
  • 0〜2歳児クラスか、幼児クラスか
  • 何人必要か

これが決まっていないと、媒体の営業担当者にすすめられるままにプランを選ぶことになり、費用がかさむ原因になります。たとえば、パート保育士を1人採りたいだけなのに、正規職員向けの高額プランを契約してしまう、ということも起こりがちです。

ステップ2:入職時期から逆算する

保育業界では、4月入職に向けた採用が集中します。4月入職の保育士を採りたいなら、前年の秋ごろには求人を出し始めている園が多く、年明けから動き出すと、すでに条件のいい求職者は他の園に決まっていることもあります。

一方、年度途中の欠員補充はスピード勝負です。

  • 4月入職を見据えた計画採用:時間をかけられるので、求人広告・ハローワーク・養成校・SNSを組み合わせる
  • 急な欠員補充:スピード重視なので、人材紹介や応募の集まりやすい媒体を優先する

このように、時期によって使うべき手法は変わります。年間の採用カレンダーを作り、「いつ、どの手法を使うか」を先に決めておくと、慌てて高い手法に頼ることが減ります。

ステップ3:1人あたりの採用予算の上限を決める

「年間の採用予算はいくらか」に加えて、「1人採用するのにいくらまでなら払えるか」を決めておきます。

たとえば上限を1人50万円と決めておけば、理論年収350万円の保育士を手数料率30%(105万円)で紹介会社から採用するのは予算オーバーだと判断できます。上限を決めておくことで、媒体の営業担当者に言われるまま契約することを防げます。

採用費は、職員の定着率や離職の頻度によっても変わります。採用費だけを見るのではなく、「なぜ毎年これだけ採用が必要なのか」という離職の原因にも目を向けておきましょう。

ステップ4:採用人数に合わせて料金体系を選ぶ

料金体系は、採用人数との相性で選ぶのが基本です。

採用人数・状況相性のいい料金体系
年に複数名を採用する掲載課金型・クリック課金型
年に1名程度成功報酬型・応募課金型
急いで1名補充したい人材紹介・成功報酬型
予算を細かく調整したいクリック課金型

複数名を採用するのに成功報酬型だけを使うと、人数分の手数料がかかります。逆に、1人しか採らないのに高額の掲載課金型プランを契約すると、応募が来なかったときの損失が大きくなります。

ステップ5:媒体の「中身」を比較する

料金体系が決まったら、具体的な媒体を比べます。比べるときは、料金だけでなく次の点を確認しましょう。

  • 自園の地域で、どれくらい保育士求人が掲載されているか:求職者が多く集まっている媒体は、競合も多い媒体です。掲載数の多さと応募の集まりやすさの両方を確認しましょう。
  • 保育士の求職者がどれくらい登録・利用しているか:総合型の求人サイトより、保育特化型のほうが保育士の求職者に届きやすい場合があります。
  • 掲載できる情報量:写真の枚数、動画の掲載可否、原稿の文字数など
  • 原稿作成のサポート:取材や撮影をしてくれるか、原稿の修正は何回まで可能か
  • 応募管理のしやすさ:応募者への連絡や日程調整を管理画面でできるか

媒体の営業担当者に「この地域で、うちと同じ規模の園の実績はどうですか」と聞いてみるのも有効です。具体的な答えが返ってこない場合は、慎重に判断したほうがいいでしょう。

ステップ6:経路別に「定着まで」検証する

求人広告を出したら、必ず効果を検証します。ここで多くの園が見落としているのが、応募数や採用単価だけで評価してしまうことです。

本当に見るべきは、「その経路で採用した人が、どれくらい定着しているか」です。たとえば、ある媒体の採用単価が30万円でも、採用した人が半年で辞めてしまえば、また採用費がかかります。一方、採用単価が50万円でも、その人が5年働いてくれれば、1年あたりの採用コストは10万円です。

見る数字確認すること
応募数原稿や媒体が求職者に届いているか
見学・面接率応募後の連絡のスピードや対応は適切か
採用数・採用単価費用に見合った採用ができているか
1年後の定着率求人の内容と実際の職場にズレはないか
採用経路別の定着単価採用費 ÷ 在籍年数で、本当に効率のいい経路はどこか

「応募経路」「採用日」「採用費」「退職日」を1枚の表で管理しておけば、1〜2年後には、自園にとって本当にコストパフォーマンスのいい採用手法が見えてきます。

応募が集まる保育士求人原稿の書き方

求人広告の成果は、原稿の出来に大きく左右されます。ここでは、保育士の求人原稿を書くときのポイントを紹介します。

まず押さえる:求人原稿のルール

求人原稿には、法律で決められたルールがあります。

必ず明示する労働条件

求人を出すときは、業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、加入保険など、基本的な労働条件を明示する必要があります。さらに、2024年4月からは、厚生労働省の改正により次の3つも明示が必要になりました。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業場所の変更の範囲
  • 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間や更新回数の上限を含む)

複数園を運営している法人では、「将来、別の園に異動する可能性があるか」を就業場所の変更の範囲として書いておく必要があります。

正確で、誤解を与えない表示にする

職業安定法では、求人情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、内容を正確かつ最新の状態に保つことが求められています。

たとえば、「月給25万円以上」と書きながら、実際には処遇改善手当や資格手当をすべて含めた最大額だった、というような書き方は誤解を招きます。基本給と各種手当を分けて書く、モデル年収を示すなど、正直な書き方を心がけましょう。

タイトル:求職者が検索する言葉を入れる

求人サイトや求人検索エンジンでは、求職者は「保育士 正社員 〇〇市」「保育士 パート 扶養内」「保育士 持ち帰りなし」といった言葉で検索しています。

タイトルには、職種・雇用形態・地域に加えて、自園の一番の特徴を入れましょう。

【〇〇駅徒歩5分】保育士(正社員)/持ち帰り仕事なし・残業月平均〇時間/定員〇名の小規模園

「アットホームな職場です」「やりがいのある仕事です」といった、どの園にも当てはまる言葉は避けます。

仕事内容:「1日の流れ」で具体的に書く

保育士の仕事内容は、求職者もある程度わかっています。知りたいのは、「この園では、具体的にどう働くのか」です。

【1日の流れ(早番の場合)】
7:00 出勤・開園準備、順次受け入れ
9:30 朝の会・主活動(散歩、製作など)
11:00 給食・午睡準備
13:00 休憩(〇分、休憩室あり)・連絡帳記入
15:00 おやつ・自由遊び
16:00 退勤

1日の流れを書くことで、休憩がとれるのか、書類仕事はいつするのかといった、求職者が気になる点が自然と伝わります。

求職者の不安に先回りして答える

前述の東京都保育士実態調査では、現在の職場を辞めたい理由として「給料が安い」(61.6%)、「仕事量が多い」(54.0%)、「労働時間が長い」(35.4%)、「職場の人間関係」(30.1%)が上位に挙がっています。

求職者は、今の職場で感じている不満が、次の職場で解消されるかどうかを見ています。次のような点を、具体的な数字や仕組みで書きましょう。

  • 仕事量:持ち帰り仕事の有無、書類のICT化の状況、行事の数と準備の分担
  • 労働時間:月平均の残業時間、休憩のとり方、シフトの決め方
  • 休日:年間休日数、有給休暇の取得実績、連休のとりやすさ
  • 人間関係:職員の年齢構成、新人のフォロー体制、相談しやすい仕組み

「残業少なめ」ではなく「残業は月平均〇時間(昨年度実績)」と書くだけで、信頼度は大きく変わります。

写真:職員の顔と職場の空気を見せる

写真は、求人原稿の中で最も見られる部分のひとつです。

  • 職員が笑顔で働いている様子(顔出しは本人の同意を得たうえで)
  • 職員室や休憩室など、働く環境がわかる写真
  • 園長や主任の写真

園児の写真を使う場合は、保護者の同意がなければ使わない、顔が特定できないように配慮するなど、慎重な扱いが必要です。

応募のハードルを下げる

いきなり「応募」を求めると、迷っている求職者は離れてしまいます。

  • 「まずは見学だけでもOK」
  • 「オンラインでの説明も可能です」
  • 「ブランクがある方も、短時間勤務から始められます」

といった、応募の前の一歩を用意しておくと、応募数が増えやすくなります。

応募後の対応スピードを決めておく

せっかく応募が来ても、返信が遅れると求職者は他の園に決めてしまいます。保育士は複数の園に同時に応募していることが多いため、「応募から24時間以内に連絡する」など、園内でルールを決めておきましょう。

園長が保育や行事で忙しい時期は、主任や事務職員が一次対応をするなど、担当を分けておくと安心です。

求人広告とSNSを組み合わせる方法

求人広告だけでも、SNSだけでも、保育士採用はうまくいきにくいのが現実です。両方の得意なことを組み合わせると、採用の効率が上がります。

役割分担:広告は「条件」、SNSは「人間関係の証拠」

求人広告とSNSの役割は、次のように分けて考えるとわかりやすくなります。

項目求人広告SNS
得意なこと今、仕事を探している人に届ける園の日常や雰囲気を継続的に見せる
伝えやすい情報給与・休日・勤務地などの条件人間関係・保育観・園長の人柄
効果が出る速さ掲載後すぐ数か月〜半年以上
費用掲載・採用ごとにかかる自社運用なら主に手間

前述のとおり、保育士が職場選びで重視するのは「勤務地」「人間関係」「給与」です。勤務地と給与は求人広告で伝えられますが、人間関係は文字だけではなかなか伝わりません。だからこそ、職員が実際に働いている様子をSNSで見せることが、求人広告の弱点を補います。

組み合わせ方1:求人広告を見た人を「SNSで納得させる」

求人広告を見て気になった求職者の多くは、応募する前に園の名前で検索し、ホームページやSNSを確認します。このとき、SNSで職員の様子や園の日常が見えると、「ここなら大丈夫そう」と安心して応募できます。

逆に、SNSが何年も更新されていなかったり、そもそもアカウントがなかったりすると、求人広告で興味を持った人を取りこぼしてしまいます。

求人広告の原稿に、SNSアカウントや採用ページへの導線を入れておきましょう(媒体によっては外部リンクの掲載に制限があるため、事前に確認してください)。

組み合わせ方2:SNSで集めた関心を「求人広告で応募につなげる」

SNSで園のことを知り、興味を持った人が、実際に仕事を探し始めたときに求人サイトで園の名前を見つける。このように、SNSでの認知が求人広告での応募につながるケースもあります。

この流れをつくるためには、SNSでも「現在、保育士を募集しています」と定期的に発信し、求人サイトにも掲載していることを伝えておくことが大切です。

組み合わせ方3:園長・理事長自身が発信する

SNSで特に効果が出やすいのが、園長や理事長自身による発信です。

  • 保育で大切にしていること
  • 職員が働きやすくするために取り組んでいること
  • 園で起きた、心が温かくなった出来事

こうした発信は、求人広告のどんな言葉よりも、園の考え方と人柄を伝えます。求職者にとって、園長はこれから一緒に働く「上司」です。どんな人なのかが事前にわかることは、大きな安心材料になります。

経営者自身が発信することの効果については、「経営者のSNS」でも解説しています。

組み合わせ方4:採用カレンダーに沿って使い分ける

年間を通して、次のように使い分けるのも一つの方法です。

  • 通年:SNSで園の日常や園長の考えを発信し続ける(認知と信頼の土台)
  • 4月入職に向けた時期:求人広告とハローワーク、養成校への求人を出す。SNSでも募集を告知し、見学会や説明会を案内する
  • 年度途中の欠員:まずSNSのフォロワーや職員の紹介、ハローワークで探し、間に合わなければ求人広告や人材紹介を使う

SNSで園のファンを少しずつ増やしておくと、急な欠員が出たときに「まずSNSで募集してみる」という選択肢が生まれます。これがうまくいけば、高額な人材紹介に頼る回数を減らせます。

特に効果が高いのは、求人広告で条件面を提示しつつ、SNSで園長・理事長本人が「なぜこの人員配置にしているのか」「どんな保育を大切にしているか」を自分の声で語る組み合わせです。再生数がまだ少ない段階でも、応募者は面接前にSNSと動画を見て志望度を固めてから見学・応募に進むため、入職後のミスマッチ防止にも直結します。

SNS採用にかかる費用の目安は「採用SNSの費用はいくら?自社運用・広告・代行の相場と内訳」でまとめています。

まとめ:保育士の求人広告は「選び方」と「組み合わせ方」で結果が変わる

保育士の有効求人倍率は全国で4倍近く、求人広告を出すだけで応募が集まる時代ではありません。媒体の特徴を理解して選び、ほかの手法と組み合わせることが大切です。

  • 採用方法は、求人サイト・求人検索エンジン・成功報酬型サイト・人材紹介・ハローワークなどの公的機関・SNSやリファラルの6種類
  • 求人広告は、採用人数に合わせて料金体系(掲載課金・クリック課金・応募課金・成功報酬)を選ぶ
  • 人材紹介はスピードが強みだが、1人あたりのコストが高く、定着面の確認が欠かせない
  • 媒体選びは「採用要件→入職時期→予算上限→料金体系→媒体の比較→定着までの検証」の順で考える
  • 求人原稿は、法律のルールを守ったうえで、1日の流れや残業時間など具体的な数字で書く
  • 求人広告は「条件」、SNSは「人間関係の証拠」と役割を分け、組み合わせて使う
  • 採用手法は、採用単価だけでなく「定着まで」含めて評価する

求人広告に毎年多くの費用をかけているのに採用が安定しない、紹介会社への手数料が経営を圧迫している、という場合は、SNSを組み合わせて「園を知ってもらう土台」をつくることが、遠回りに見えて近道になることがあります。

PRESNSでは、園長・理事長など経営者の発信を軸にしたSNS採用とブランディングを支援しています。アカウントの設計から投稿の企画・制作、求人広告と組み合わせた採用の仕組みづくりまで、一貫してサポートします。「求人広告だけに頼らない保育士採用を始めたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。