採用ブランディングの成功事例10選|大手・中小企業に学ぶ成功のポイントと共通点
「採用ブランディングに取り組みたいが、具体的に何をすればよいのか分からない」「他社の成功事例を参考に自社の戦略を考えたい」——そうした採用担当者や経営者は少なくありません。
採用ブランディングは、自社の魅力を発信して「選ばれる企業」になるための戦略ですが、成果を出している企業には共通する考え方と工夫があります。本記事では、メルカリやサイボウズといった大手・有名企業から、製造業・医療・IT業界の中小企業まで、採用ブランディングの成功事例10選を厳選して紹介します。
あわせて、事例から見える成功の共通点、よくある失敗、自社で実践するための進め方まで解説。自社に取り入れられるヒントがきっと見つかるはずです。
そもそも採用ブランディングとは?成功事例を見る前に押さえる基本
採用ブランディングの意味と目的
採用ブランディングとは、求職者に対して自社の価値や魅力を正しく伝え、「この会社で働きたい」と選んでもらうための戦略的な活動です。単に知名度を上げるだけでなく、自社独自の価値観や文化に共感してもらうことで、入社意欲が高くマッチ度の高い人材を集めることを目的とします。従来の「条件を提示して応募を待つ」採用とは異なり、企業のファンを育て、自然と人が集まる仕組みをつくるアプローチといえます。
なぜ今、採用ブランディングの成功事例が注目されるのか
少子高齢化による人手不足が深刻化し、採用市場は企業が「選ばれる側」へと変化しました。求人広告を出すだけでは優秀な人材を確保しづらい時代だからこそ、自社の魅力を伝える採用ブランディングが重要になっています。とはいえ、ゼロから戦略を組み立てるのは簡単ではありません。だからこそ、すでに成果を上げている企業の成功事例から「何を、どう発信したのか」を学ぶことが、遠回りを避ける近道になります。
【大手・有名企業】採用ブランディングの成功事例
まずは、採用ブランディングの代表例として広く知られる大手・有名企業の成功事例を紹介します。規模や知名度は違っても、その考え方は自社に応用できるヒントに満ちています。
事例1. メルカリ|オウンドメディア「mercan」でミスマッチを防止
フリマアプリで知られるメルカリは、採用ブランディング専用のオウンドメディア「mercan(メルカン)」を運営しています。社員インタビューやカルチャー解説、社内イベントレポートに加え、成功談だけでなく組織の課題や失敗談も率直に発信し、透明性の高い情報開示を徹底しているのが特徴です。「働く人」に徹底的にフォーカスすることで、華やかなイメージだけでは伝わらないリアルな組織の姿を可視化。応募の質と入社後の定着率の向上につなげた、オウンドメディア型採用ブランディングの代表的な成功事例です。
事例2. サイバーエージェント|市場リサーチでブランドメッセージを最適化
サイバーエージェントは、徹底した採用市場のリサーチをもとに、発信するブランドメッセージとターゲット層を最適化した成功事例です。学生の動画視聴傾向に着目してコンテンツを設計し、従来の「1年目から新規事業に挑戦」というイメージから、事業成長の基盤を支える実態に即したメッセージへと転換。これにより、これまで接点の少なかった日系大手・外資系志望の優秀な学生層へのリーチ拡大に成功しました。情報発信の手段を変えることでブランドイメージそのものを最適化した好例といえます。
事例3. サイボウズ|共感を呼ぶ動画で認知とイメージを向上
グループウェアを開発するサイボウズは、共感を軸にした発信で採用ブランディングを成功させました。働くママを応援するムービーを制作してテレビやインターネットで公開し、YouTubeでは異例の再生数を記録。働き方にスポットを当てたことで認知度とイメージが向上し、副業解禁や子連れ出社、リモートワークといった先進的な制度も求職者の目に留まりやすくなりました。かつて高かった離職率を大きく改善したと公表されており、制度と発信を連動させた採用ブランディングの好例です。
事例4. 日本マクドナルド|EVP(働く価値)を軸にした人材育成ブランディング
日本マクドナルドは、「人材育成」という自社ならではの価値(EVP=従業員価値提案)を軸に採用ブランディングを展開しています。教育機関「ハンバーガー大学」に象徴される学びと成長の機会を一貫して打ち出すことで、「ここで働けば成長できる」というメッセージを求職者に届けています。福利厚生や待遇だけでなく、自社が提供できる独自の価値を明確に言語化している点が、多くの企業の参考になる成功要因です。
【中小企業】採用ブランディングの成功事例
「採用ブランディングは大手だからできるのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし、知名度やリソースで劣る中小企業こそ、自社らしさの言語化と一貫した発信によって成果を上げています。
事例5. 製造業|社長対談・ブランディング動画で想いを発信
ある製造業の企業では、「社長と技術顧問の対談動画」を軸にしたブランディングを実施しました。撮影は自社らしさが最も伝わる工場内で行い、経営理念や創業の想い、今後のビジョンをテーマ別に編集。複数本の動画とコンセプトムービーを制作し、ホームページや採用活動など多方面で活用しました。社長の想いや会社の強みをいつでも伝えられる動画は、求職者に「この会社で働く意味」を届ける有効なブランディングツールとなっています。
こうした会社紹介・ブランディング動画は、経営者のメッセージや職場の雰囲気を体系的に伝えられるのが強みです。動画を活用した発信の設計については、以下の記事も参考になります。
▶ 関連記事 BtoB動画マーケティングとは?制作の流れや戦略のポイントを解説
事例6. 医療・介護|“素を見せる”発信と応募導線の工夫で応募増
医療・介護分野は人材獲得が難しい業界の一つですが、ある医療・介護サービス企業は、自社の「素」を見せる発信を心がけることで応募者数・面接数の増加に成功しました。堅苦しすぎない記事タイトルや内容で定期的に発信し、応募窓口にLINEを導入して応募までのハードルを下げたことも成功要因です。飾らないリアルな情報発信と、応募しやすい導線づくりを両立させた、人手不足業種の参考になる成功事例です。
事例7. SES・IT|社員を巻き込み「育成文化」を強みに言語化
業界イメージから応募数が伸び悩んでいたあるSES・IT企業は、採用支援を受けて自社の魅力を言語化することから着手しました。社員を巻き込んだワークショップを通じて「未経験から成長した先輩が後輩を育てる文化」が自社の強みとして明確になり、長く放置されていた企業SNSを再始動。社員自身が語り部となって魅力を発信したことで、ネガティブな業界イメージを払拭し、共感を軸とした応募の獲得につなげました。
【SNS活用】採用ブランディングの成功事例
近年の採用ブランディングで存在感を増しているのが、SNSを活用した発信です。プラットフォームごとの特性を活かした成功事例を見ていきましょう。
事例8. Instagram|リール・ストーリーズで職場のリアルを発信
Instagramは、写真や短尺動画で職場の雰囲気を視覚的に伝えるのに適したプラットフォームです。社員の1日の業務紹介やオフィスツアー、社内イベントの様子をリールやストーリーズで発信した企業では、テキストだけでは伝わりにくい「働くイメージ」を具体化し、求職者のエンゲージメントを高めることに成功しています。ビジュアルで企業文化を伝えられる点が、共感を軸とした採用ブランディングと好相性です。
事例9. X(旧Twitter)|拡散性を活かしたエンジニア採用
特定の技術に精通したエンジニア層の獲得に苦戦していたある企業は、ターゲットが日常的に利用するX(旧Twitter)に注力する戦略を採用しました。企業の日常や社員の声、技術的な発信をリアルタイムで行うことで親近感を醸成し、求職者との接点を創出。拡散性の高さを活かして、求人媒体だけでは届かなかった層へのアプローチに成功しています。
業種・規模・ターゲット別の具体的なSNS活用術は、以下の記事で10の事例とともに詳しく解説しています。自社の課題に近い事例を探すヒントになるはずです。
▶ 関連記事 SNS採用の成功事例10選!Twitter・Facebook・Instagram活用術
事例10. 経営者・社長アカウントで共感を集めた事例
中小企業やベンチャーで特に効果を上げているのが、経営者・社長自身の発信です。社長が価値観や事業への想い、意思決定の背景を継続的に発信することで、「この社長のもとで働きたい」「ミッションに共感した」という強い動機を持つ求職者とつながった事例が増えています。経営者の発信は、カルチャーマッチした応募の増加だけでなく、社内の結束を高めるインナーブランディングにも波及します。
ただし、実績の強調や自己アピールが過剰になると逆効果になりかねません。誠実さと一貫性を保ち、相手にとって価値ある情報を届ける姿勢が、共感される発信のポイントです。
▶ 関連記事 SNSで嫌われない!「うざい」を回避する自然なセルフブランディング
成功事例から見える採用ブランディング成功の共通点
ここまで紹介した成功事例には、規模や業種を超えた共通点があります。自社で取り組む際の指針として整理しておきましょう。
ゴールを「入社」ではなく「入社後の活躍」に置いている
成功企業は、採用のゴールを「内定・入社」ではなく「入社後の活躍と定着」に設定しています。だからこそ、良い面だけを誇張せず、組織の実態やカルチャーを正直に伝え、ミスマッチを防ぐ発信を徹底しています。
イメージと実態のギャップを正直に発信している
メルカリの失敗談の開示や、医療・介護企業の“素を見せる”発信に共通するのは、企業イメージと実態のギャップを埋める誠実な情報開示です。リアルを見せることが、かえって信頼と共感を生んでいます。
自社の弱み・課題を独自の価値(EVP)に転換している
万人に好かれようとするのではなく、自社のカルチャーに合う層へ絞り込み、弱みや課題すら独自の価値(EVP)へと反転させて発信する。これが、応募者の質を高める採用ブランディング成功の本質です。
経営者・社員を巻き込み一貫したメッセージを発信している
成功事例の多くは、人事部門だけでなく経営者や現場社員を巻き込み、社員一人ひとりを「発信主体=メディア」と捉えています。全社で一貫したメッセージを発信することが、ブレないブランドイメージの形成につながります。
採用ブランディングでよくある失敗と注意点
成功事例の裏側には、避けるべき落とし穴も存在します。代表的な失敗パターンを押さえておきましょう。
短期で成果を求めてしまう
採用ブランディングの成果を実感するには、一般に1〜2年の期間を要します。数回の求人広告やSNS発信だけでは情報が十分に届きません。短期で結果が出ないからと中断してしまうのが、最もよくある失敗です。中長期の視点で継続することを社内で共有しておきましょう。
人事だけで進めて現場とズレる
人事部門だけで採用したい人材像を決めてしまうと、現場が求める人材とのあいだにズレが生じ、ミスマッチを招きます。誰を採用し、どう魅力を伝えるかは、経営層や現場と方向性をすり合わせながら決めることが、自社らしさの伝わるブランディングにつながります。
中小企業が採用ブランディングを成功させる進め方
最後に、成功事例の要素を自社に取り入れるための実践ステップを紹介します。
STEP1. 採用コンセプトを言語化する
採用ブランディングの出発点は、採用コンセプトの言語化です。採用コンセプトとは、自社の魅力とターゲットのニーズをかけ合わせたメッセージのこと。理念・価値観・企業文化をもとに「こんな人に来てほしい」「この会社で得られるもの」を言葉にし、求人広告・採用サイト・SNSなど、あらゆる発信の軸として共有します。
STEP2. SNS・動画で経営者の発信を資産化する
コンセプトが定まったら、SNSや動画で継続的に発信していきます。特に中小企業では、経営者自身の発信が強力な差別化要因になります。とはいえ、企画・撮影・編集・分析を社内だけで継続するのは負担が大きく、「最初の1ヶ月で止まってしまった」という声も少なくありません。
経営者専門のSNS運用支援サービス「PRESNS」は、社長・代表者へのヒアリングをもとに発信コンセプトを設計し、企画から撮影・編集・投稿・分析までを一貫して代行します。1本の動画をInstagram・TikTok・YouTubeへ横展開し、カルチャーマッチした応募の増加や、広告に依存しない中長期の採用基盤づくりを支援。本記事の成功事例のような取り組みを「丸投げで継続できる体制」で実現したい中小企業の経営者にとって、有力な選択肢になるでしょう。
まとめ
採用ブランディングの成功事例に共通するのは、自社の実態を誠実に伝え、弱みすら独自の価値に変え、経営者や社員を巻き込んで一貫したメッセージを発信していることです。大手企業のオウンドメディアや動画施策はもちろん、中小企業の社長対談動画やSNS発信、経営者自身の情報発信まで、自社の規模や業種に合わせて応用できるヒントは数多くあります。まずは採用コンセプトの言語化から着手し、SNSや動画を活用した継続的な発信へとつなげて、自社ならではの採用ブランディングを成功させましょう。