運送業のドライバーSNS採用|2024年問題に効くTikTok・YouTube活用術
「求人を出しても応募が来ない」「来ても50代以上ばかりで、若い人がまったく入ってこない」「やっと採れたと思ったら3か月で辞めた」——ドライバー不足に悩む運送会社の経営者から、こうした声をよく聞きます。
2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、1人あたりが走れる時間は短くなりました。同じ仕事量をこなすには、これまで以上に人が必要です。一方で、求人媒体やハローワークに出す求人票は、どの会社も「月給〇〇万円以上」「未経験歓迎」「大型免許取得支援あり」と似た言葉が並び、求職者から見ると違いがわかりません。
そこで注目されているのが、TikTok・YouTube・Instagramを使ったSNS採用です。この記事では、2024年問題の背景を公的データで整理したうえで、ドライバー層が実際に使っているSNS、媒体ごとの使い分け、すぐに使える投稿ネタ、未経験者・女性・若手の採り方、運送業ならではの注意点まで解説します。
PRESNSの支援現場でも、求人媒体だけでは仕事内容や社風が伝わりにくい運送・現場系企業において、社長本人が現場のリアルや運行管理・安全への考え方を動画で発信したことで、「面接前に社長のSNSと動画を見て安心し、志望度を固めてから応募してきた」という採用成果につながっています。
運送業でドライバー採用が難しくなっている背景
2024年4月から何が変わったのか
いわゆる「物流の2024年問題」は、働き方改革関連法により、2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限(年960時間)が適用されたことを指します。これまで猶予されていた規制で、違反には罰則もあります。
あわせて、厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示:ドライバーの拘束時間や休息時間のルール)も改正されました。国土交通省近畿運輸局の資料によると、2024年4月以降の主なルールは次のとおりです。
| 項目 | 2024年4月以降の基準 |
|---|---|
| 時間外労働の上限 | 年960時間 |
| 年間の拘束時間 | 原則3,300時間(労使協定で3,400時間まで) |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間(労使協定で年6か月まで310時間) |
| 1日の拘束時間 | 原則13時間、最大15時間 |
| 休息期間(勤務と勤務の間) | 継続11時間を基本とし、9時間を下回らない |
「拘束時間」とは、運転だけでなく荷待ちや荷役、休憩も含めた、始業から終業までの時間のことです。長時間走れるドライバーに頼って売上を立てていた会社ほど、人を増やさなければ同じ仕事を受けられなくなりました。
何もしなければ輸送力が大きく不足する
国土交通省の「国土交通白書2024」では、対策を講じなかった場合、2024年度に14%、2030年度には34%の輸送力が不足すると見込まれています。つまり、2030年には今の3分の1の荷物が運べなくなる可能性があるということです。
国は荷主側の商慣行の見直しや、荷待ち時間の削減、運賃の適正化などを進めていますが、運送会社にとって「人を採れるかどうか」が事業の継続そのものに直結する状況は変わりません。
ドライバーの働き方・年齢構成のデータ
国土交通省関東運輸局の資料(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」ほかをもとに作成)では、トラックドライバーの現状について次のように整理されています。
- 年間の労働時間は、全職業平均より約2割長い
- 年間の所得額は、全産業平均より5〜10%低い
- 人手不足の度合い(有効求人倍率)は、全職業平均の約2倍
- 10代〜20代の割合は約10%、65歳以上は約9%で、中年層の割合が高い
- 女性ドライバーの割合は約3%
「長く働くのに給料は平均より低い」というイメージが、若い人や女性が業界を選ばない理由になっています。中心は40〜50代で、このままでは10年後、20年後にさらに人が減ることが見えています。
2024年問題は「採用の武器」にもなる
ここで見方を変えてみてください。2024年問題は、裏を返せば「ドライバーの働き方がルールで守られるようになった」ということです。
求職者の多くは、いまだに「トラックの運転手は家に帰れない」「休みがない」というイメージを持っています。もし自社が規制に対応して、休息期間や休日をきちんと確保しているなら、それは業界のイメージと実態のギャップです。このギャップこそ、SNSで伝える価値がある情報です。
求人票の「週休2日」という4文字では信じてもらえないことも、実際のドライバーが「今日は17時に上がって子どもの迎えに行きます」と話す15秒の動画なら伝わります。規制対応を「コスト」だけで終わらせず、発信の材料にできるかどうかで、採用の結果は変わってきます。
なぜ運送業の採用にSNSが効くのか
求人票では「会社の違い」が伝わらない
求人媒体の求人票は、項目が決まっていて、書ける内容もほぼ同じです。給与・休日・免許支援・車種を並べると、どの運送会社も似たような見た目になります。結果として、求職者は「給与が一番高いところ」を選ぶことになり、資金力のある大手に人が流れます。
SNSでは、求人票に書けない情報を出せます。
- どんな人が働いているのか(年齢、前職、人柄)
- 社長や配車担当がどんな人なのか
- 事務所や車庫、休憩室の雰囲気
- トラックの手入れ具合や、車内の様子
- 1日の流れ、荷物の積み方、走るルート
中小の運送会社が大手と同じ土俵で戦わずに済むのは、こうした「中身」で選んでもらえるときです。
今すぐ転職を考えていない層に届く
求人媒体を見ているのは、すでに転職を決めている人だけです。一方、TikTokやYouTubeでトラックの動画を見ている人の中には、「今の仕事に不満はあるが、まだ動いていない」人がたくさんいます。
工場勤務、倉庫作業、配達員、建設業、タクシー・バス運転手など、運転や体を動かす仕事に慣れた人にとって、トラックドライバーは自然な選択肢です。SNSで日常的に自社の動画を目にしてもらうことで、「転職するならあの会社」と思い出してもらえる状態をつくれます。
家族の「反対」を解く材料になる
上位の解説記事ではあまり触れられていませんが、ドライバー採用で見落とされがちなのが家族の存在です。
ドライバーへの転職を考える30〜40代の多くは、家族がいます。本人が興味を持っても、配偶者や親から「トラックは危ない」「帰ってこられないんでしょ」「体を壊すよ」と反対され、応募をやめるケースは少なくありません。
SNSの投稿は、本人だけでなく家族も見ます。「この会社は夜にはちゃんと帰れる」「事故防止にここまで取り組んでいる」「社長がしっかりした人」と家族が納得できる材料があれば、応募や入社の後押しになります。投稿を考えるときは、本人と家族の両方が安心できるかという視点を入れてみてください。
経営者の顔が見えることが安心材料になる
運送業の転職者が恐れているのは、「入ってみたら聞いていた話と違った」ことです。給与の計算方法、残業代の扱い、事故時の負担など、入る前には見えない不安がたくさんあります。
社長自身が顔を出して、会社の考え方やドライバーへの向き合い方を語っている会社は、それだけで「隠しごとをしない会社」という印象を与えます。中小企業ほど、経営者の発信は効果を発揮しやすくなります。経営者が発信することの意味については「経営者ブランディングとは」でも詳しく解説しています。
ドライバー層が使っているSNS
年代別のSNS利用率(総務省調査)
総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、主なSNSの年代別利用率は次のとおりです。
| SNS | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| LINE | 96.4% | 97.7% | 97.9% | 96.6% | 95.6% | 92.0% |
| YouTube | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% |
| 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | |
| X(旧Twitter) | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% |
| TikTok | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% |
| 14.3% | 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% | 22.6% |
データから読み取れること
この表を運送業の採用に当てはめると、次のことが見えてきます。
- YouTubeは40代でも9割、50代でも約85%が使っている。ドライバーの中心層である40〜50代に最も広く届くのはYouTubeです。
- TikTokは10〜20代で6割以上。若手を採りたいなら外せません。40代でも4割を超えており、「若者だけのもの」ではなくなっています。
- Instagramは20〜30代で7〜8割。20〜30代の転職層や女性に届けたい場合に有効です。
- LINEは全年代で9割以上。情報を届ける場所というより、応募や問い合わせを受ける「受け皿」として使うのが現実的です。
つまり、「どのSNSが一番いいか」ではなく、誰を採りたいかでSNSを選ぶのが正解です。
ドライバーがSNSを見るのは「休憩・待機時間」
ドライバーという仕事の特性も押さえておきましょう。運転中にスマホを見ることは道路交通法で禁止されており、2019年12月には「ながら運転」の罰則も強化されました。ドライバーがSNSを見るのは、休憩中、荷待ちの待機中、仕事が終わったあとの時間です。
ここから、投稿の作り方にもヒントが得られます。
- 短い休憩でも見終わる、15〜60秒の縦型ショート動画
- 音を出さなくても内容がわかるよう、字幕を入れる
- 仕事終わりのリラックスした時間に見られる、YouTubeの5〜15分程度の動画
現役ドライバーは、同業他社の動画をよく見ています。「隣の会社はこんな働き方をしているのか」と気づいてもらえれば、転職の検討につながります。
TikTok・YouTube・Instagramの使い分け
TikTok:まだ自社を知らない人への「入り口」
TikTokの特徴は、フォロワーがいなくても、おすすめ欄に表示されて多くの人に見てもらえる点です。立ち上げたばかりのアカウントでも、内容次第で何万回と再生されることがあります。
運送業のTikTokで見られやすいのは、次のような動画です。
- 大型トラックの運転席からの景色、早朝の高速道路
- 狭い道でのバック駐車、きれいな荷積みなど「プロの技」
- 洗車やワックスがけでピカピカになっていく様子
- ドライバー同士の掛け合いや、社長との軽いやり取り
- 「トラックドライバーの1日」「給料公開」などのシリーズ
TikTokは「求人広告っぽさ」が出ると見てもらえません。採用目的であっても、まずは見て楽しい・面白い動画をつくり、プロフィール欄で「ドライバー募集中」と伝える、という順番を意識しましょう。現場系の業種でのTikTokの活かし方は「建設業のTikTok活用」も参考になります。
YouTube:応募を迷っている人の「決め手」をつくる
YouTubeは、TikTokで興味を持った人が「もっと詳しく知りたい」と思ったときに見に来る場所です。また、40〜50代の利用率が高いため、経験者のドライバーに直接届く媒体でもあります。
長尺の動画では、次のような内容が向いています。
- ドライバーの1日に密着した10分前後の動画
- 社長が会社の考え方、給与の仕組み、2024年問題への対応を語る動画
- 先輩ドライバーへのインタビュー(前職、入社した理由、実際の働き心地)
- 新人が入社してから一人立ちするまでの記録
YouTubeにもショート動画(YouTubeショート)があり、TikTok用に作った縦型動画をそのまま投稿することもできます。まずはショートから始め、反応が良かったテーマを長尺動画にしていく進め方が、負担を抑えやすい方法です。
Instagram:会社の「顔」として確認される場所
Instagramは、TikTokやYouTubeほど新しい人に届きやすいわけではありませんが、応募前に会社を確認される場所として重要です。特に20〜30代は、気になった会社の名前でInstagramを検索して、雰囲気をチェックすることが多くあります。
- 社員紹介の投稿(写真+簡単なプロフィール)
- 休憩室や更衣室、事務所の写真
- 社内イベントや表彰の様子
- リール(縦型の短い動画)でTikTokと同じ動画を投稿
- ストーリーズでの日々の小ネタや、求人の告知
プロフィールには「会社名」「拠点のエリア」「ドライバー募集中」「採用ページやLINEへのリンク」をまとめておきましょう。
LINE公式アカウント:応募の「受け皿」
SNSで興味を持った人が、いきなり電話や応募フォームから連絡するのはハードルが高いものです。LINE公式アカウントを用意して「まずは質問だけでもOK」と案内すると、気軽に連絡しやすくなります。
ドライバー志望者は、パソコンで長いフォームに入力するより、スマホのLINEで短くやり取りするほうを好む傾向があります。応募のハードルをどこまで下げられるかは、SNS採用の成果を左右する重要なポイントです。
運送会社がSNS採用を始める6ステップ
SNS採用は、いきなり動画を撮り始めるとうまくいきません。次の流れで準備すると、遠回りせずに成果につなげやすくなります。

1. 採りたい人を決める
「ドライバーなら誰でも」ではなく、「大型経験者の40代」「未経験の20代」「地場配送の短時間で働きたい女性」など、具体的に決めます。誰を採りたいかで、使うSNSも、投稿の内容も変わるからです。
2. 自社の「売り」を言葉にする
採りたい人から見て、自社のどこが魅力かを書き出します。給与の高さだけで勝負する必要はありません。「全員日帰り」「手積み手降ろしなし」「新車を優先的に配車」「社長が元ドライバーで現場をわかっている」など、具体的なほど伝わります。
3. 使うSNSと担当を決める
最初から全部のSNSをやる必要はありません。まずは「TikTok+Instagram」または「YouTubeショート+Instagram」など、2つ程度に絞ります。撮影担当、投稿担当、DMや問い合わせへの返信担当を決めておかないと、運用は続きません。
4. 受け皿を整える
採用ページ、LINE公式アカウント、Instagramのプロフィールを整えます。投稿を見て興味を持った人が「次に何をすればいいか」がわかる状態にしておきます。
5. 投稿を続ける
最初の3か月は、週2〜3本を目安に投稿を続けます。いきなり再生数が伸びることは少なく、何本か投稿してみて、反応のいいテーマを探していく作業になります。
6. 数字を見て改善する
再生数、プロフィールへのアクセス、LINEの友だち追加、問い合わせ、面接、採用と、各段階の数字を追います。どこで止まっているかがわかれば、改善すべき点も見えてきます。SNS採用全体の進め方は「SNS採用広告の完全ガイド」でもまとめています。
運送会社のSNS採用で使える投稿ネタ20選
「何を投稿すればいいかわからない」という声は多いですが、運送会社には動画にできる素材がたくさんあります。ジャンル別に紹介します。
仕事のリアルを見せるネタ
- ドライバーの1日(出庫から帰庫まで)
- 運転席からの景色(停車中・同乗者の撮影で)
- 荷積み・荷降ろしの手順と、きれいに積むコツ
- 狭い場所でのバック駐車の技術
- 点呼やアルコールチェックの様子
人と職場を見せるネタ
- 先輩ドライバーの紹介(前職、入社理由、休日の過ごし方)
- 社長・配車担当へのインタビュー
- 休憩室、更衣室、シャワー、仮眠室の紹介
- 社内の表彰や、無事故の表彰
- 社員同士の雑談や、誕生日のお祝い
働き方・条件を見せるネタ
- 「給料いくら?」を先輩に直撃(本人の同意を得て、モデル例として)
- 休日の取り方、有給の取りやすさ
- 2024年問題への対応で変わったこと(帰宅時間、運行の組み方)
- 免許取得支援の流れと、実際に取った人の話
- 新人研修のカリキュラム、横乗り(先輩の隣に乗って学ぶ期間)の様子
トラック・車両のネタ
- 新車の納車
- 洗車・ワックスがけで車がきれいになっていく様子
- 車内(キャビン)の紹介、ドライバーごとのこだわり
- 車種ごとの違い(2t・4t・大型・トレーラー)の解説
- 安全装備(ドライブレコーダー、衝突被害軽減ブレーキなど)の紹介
このうち特に反応が出やすいのは、「給料公開」「1日の流れ」「新人の成長記録」のように、求職者が一番知りたいのに求人票ではわからない情報です。迷ったら、面接でよく聞かれる質問をそのまま動画のテーマにしてみてください。
未経験者・女性・若手の採り方
経験者の奪い合いには限界があります。これからの運送会社の採用では、未経験者・女性・若手という、これまで業界に入ってこなかった層をどう採るかが重要になります。
未経験者:「入ってからの3か月」を具体的に見せる
未経験者が一番不安に思っているのは、「本当に自分にできるのか」です。「未経験歓迎」と書くだけでは、その不安は消えません。
- 入社初日に何をするのか
- 横乗りの期間はどれくらいで、誰が教えてくれるのか
- 最初はどの車格・どのルートから始めるのか
- 免許取得の費用は誰が負担し、取得までにどれくらいかかるのか
- 実際に未経験から入った人が、今どうなっているか
これらを動画で見せると、未経験者の応募のハードルは大きく下がります。特に、未経験で入った新人がだんだん一人前になっていく様子を記録したシリーズは、見る人が応援したくなるため、採用につながりやすいコンテンツです。
女性:設備と働き方を「具体的に」出す
国土交通省のデータでは、女性ドライバーの割合は約3%にとどまります。国土交通省は「トラガール促進プロジェクト」を通じて女性ドライバーの活躍を後押ししていますが、個々の会社でも女性が働きやすい環境を整え、それを発信することが欠かせません。
女性の求職者が知りたいのは、「女性も活躍中」という言葉ではなく、具体的な情報です。
- 女性用のトイレ、更衣室、休憩室はあるか
- 手積み手降ろし(荷物を手作業で積み降ろしすること)の有無や、荷物の重さ
- 日勤のみ、短時間勤務、土日休みなどの選択肢
- 子どもの急な発熱などに対応してもらえるか
- 実際に働いている女性ドライバーの声
すでに女性ドライバーがいる会社なら、本人の同意を得たうえで、その人の1日や働き方を発信するのが最も説得力があります。「自分と同じような人が働いている」とわかることが、応募の一番の後押しになります。
若手:18歳から取れる免許と、近い世代の先輩を見せる
2017年3月に「準中型免許」が新設され、18歳から車両総重量7.5トン未満のトラックを運転できる免許が取れるようになりました。高校を卒業してすぐにドライバーとして働ける道ができたことは、若手採用にとって大きな変化です。
若手に届けるうえで大切なのは、次の2つです。
- 近い世代の先輩を出す:20代のドライバーが楽しそうに働いている姿は、何よりの説得材料です。
- 「かっこいい」を見せる:トラックの迫力、プロの運転技術、手入れされた車など、若い人が「やってみたい」と思える映像を意識します。
TikTokは10代・20代の利用率が高く、若手採用の入り口として最適です。また、高校生の就職では保護者や先生の意見も大きく影響するため、「安全への取り組み」や「休日の確保」を伝える投稿も並行して出しておくと安心材料になります。
異業種からの転職組:前職の経験を活かせると伝える
工場、倉庫、配達、建設など、異業種からの転職者も重要なターゲットです。「前職は〇〇でした」という先輩の紹介は、同じような経歴の人に「自分もできるかも」と思ってもらえるきっかけになります。
現場系・ドライバー採用で特に刺さるのは、飾らない1日の仕事の流れや、社長自身が「荷主との交渉や労働環境の改善にどう向き合っているか」を本音で語る動画です。派手にバズらせる必要はなく、ターゲットとなる求職者が指名検索やプロフィール経由で見たときに「この社長のもとで働きたい」と思える信頼資産を作ることが重要です。
経営者の発信が、運送会社の採用を変える
「どんな社長の下で働くか」は、ドライバーにとって大きな関心事
ドライバーは、事務所を出れば基本的に一人で仕事をします。だからこそ、困ったときに会社がどう守ってくれるのか、事故やトラブルのときに社長がどう対応するのかを気にしています。
社長が自分の言葉で「うちはドライバーをこう大事にしている」「2024年問題にこう向き合っている」と発信している会社は、それだけで安心感があります。中小の運送会社では、社長がもともとドライバーだったというケースも多く、その経験は大きな発信の材料になります。
社長の発信は、採用だけでなく営業にも効く
経営者の発信は、採用だけでなく、荷主との取引にも影響します。2024年問題をきっかけに、荷主側も「ちゃんと運んでくれる運送会社」を探しています。社長が安全や働き方への考えを発信していることは、新しい取引先にとっても信頼の材料になります。
経営者が自分でSNSを運用することの効果については「経営者のSNS」も参考にしてください。
社長が出られないときは「現場の顔」を立てる
もちろん、社長が顔を出すことに抵抗がある場合もあります。その場合は、配車担当や現場のリーダーなど、「この人と働きたい」と思われる人を会社の顔にしても構いません。大切なのは、誰が、どんな思いで会社を運営しているのかが見えることです。
運送会社がSNS採用で気をつけるべき注意点
運転中の撮影・スマホ操作は行わない
最も重要な注意点です。運転中のドライバー本人によるスマホ撮影や操作は道路交通法違反であり、事故につながります。撮影する場合は、停車中に撮る、助手席の同乗者が撮影する、車載カメラやドライブレコーダーを活用するなど、安全な方法に限ります。
また、投稿した動画の中で、運転中にスマホを触っているように見える場面があると、それだけで批判を受ける可能性があります。安全を何より大事にする業種だからこそ、投稿前のチェックを徹底しましょう。
荷主や取引先の情報を映さない
運送会社の動画で特に気をつけたいのが、映り込みです。
- 荷物の伝票、荷主の社名やロゴ
- 納品先の建物や住所がわかる景色
- 他社のトラックのナンバー
- 運行ルートや到着時間がわかる情報
荷主との契約上、取引内容の公開が問題になることもあります。撮影前に、取引先から許可が出ているかを確認しておくことが大切です。
社員の同意を取る
社員を動画に出す場合は、事前に本人の同意を取りましょう。特に、給与額を公開する動画や顔出しの動画では、口頭だけでなく書面で同意をもらっておくと安心です。退職したときに動画をどう扱うかも、あらかじめ決めておきましょう。
求人情報は正確に伝える
2022年10月施行の改正職業安定法では、求人情報を出す側に、正確かつ最新の内容を表示することが求められるようになりました。SNSの投稿でも、実態とかけ離れた給与額や「誰でも月収〇〇万円」のような表現は避けましょう。
「入ってみたら違った」という不満は、早期離職だけでなく、SNS上での悪い口コミにもつながります。良いところも、大変なところも正直に伝えるほうが、結果として定着する人が集まります。
荒い運転や業界批判への反応に注意する
トラックの動画には、ときに「トラックの運転が荒い」「邪魔だ」といった批判的なコメントがつくことがあります。感情的に反論すると炎上のきっかけになるため、コメントへの対応ルールを決めておきましょう。
逆に、安全運転や譲り合いの姿勢を見せる動画は、好意的に受け取られやすい傾向があります。
成果を急がない
SNS採用は、求人広告のように「出したらすぐ応募が来る」ものではありません。アカウントが育ち、自社の動画を何度か見てもらってから応募につながるまでには、一定の時間がかかります。最初の数か月で成果が出ないからといってやめてしまうと、それまでの投資が無駄になります。
SNS採用にかかる費用の目安は「採用SNSの費用相場」で解説しています。
成果を数字で管理する
SNS採用をうまく回すには、感覚ではなく数字で見ることが大切です。運送会社の場合、次のような段階で追うのがおすすめです。
| 段階 | 見る数字 | 詰まっているときの改善策 |
|---|---|---|
| 認知 | 再生数・フォロワー数 | 冒頭2秒の見せ方を変える、反応の良いテーマを増やす |
| 興味 | プロフィールへのアクセス数 | 動画の最後でプロフィールに誘導する |
| 問い合わせ | LINE友だち追加数・DM数 | プロフィールの導線を整理する、「質問だけでもOK」と伝える |
| 面接 | 面接・見学の実施数 | 返信の速さを上げる、職場見学を提案する |
| 採用 | 内定・入社数 | 面接で動画と同じ雰囲気を伝える、条件を正直に話す |
| 定着 | 3か月後・1年後の在籍率 | 入社前の期待と実態のズレを確認する |
運送業で特に大事なのが、最後の「定着」です。SNSで入社した人が辞めずに働いているかを見ることで、発信内容が実態とずれていないかを確認できます。
まとめ
ドライバー不足は、2024年問題によってさらに深刻になっています。一方で、規制によって働き方が整ってきた今だからこそ、「業界のイメージと自社の実態のギャップ」をSNSで伝えることが、採用の大きな武器になります。
- 2024年4月から時間外労働の上限(年960時間)が適用され、対策がなければ2030年度に34%の輸送力が不足すると見込まれている
- 求人票では会社の違いが伝わらない。SNSでは人・職場・働き方の「中身」を見せられる
- 40〜50代の経験者にはYouTube、若手にはTikTok、20〜30代や女性にはInstagram、応募の受け皿にはLINE
- 投稿ネタは「求職者が一番知りたいのに求人票ではわからない情報」から選ぶ
- 未経験者・女性・若手には、それぞれの不安に合わせた具体的な情報を出す
- 本人だけでなく、家族が安心できる発信を意識する
- 運転中の撮影、荷主情報の映り込み、誇張した求人表現には十分注意する
PRESNSでは、経営者・代表の発信を軸にしたSNS採用とブランディングを支援しています。TikTok・YouTube・Instagramの戦略設計から、撮影・編集、アカウント運用、応募の受け皿づくりまで一貫して対応しています。「ドライバーが集まらない」「SNSを始めたいが、何から手をつければいいかわからない」という運送会社の経営者の方は、お気軽にご相談ください。